<Aeromotive Fuel Pump Controllerの装着>

Aeromotive社製の16302 Fuel Pump Speed Controllerを装着しました。
この製品はその名が示すようにエンジン回転数を検出して燃料ポンプの稼働電圧を制御するものですが、フル稼働時であっても電圧がブーストされることはありません。
具体的な機能は、アイドリングや低回転時は燃料ポンプへ供給する電圧を低下させて稼動を抑制し、一定回転(調整可能)以上になった時に電圧を通常値にして燃料ポンプをフル稼働させるものですから、高容量燃料ポンプを既に装着している場合に無駄な稼働を抑制して耐久性を向上させるアイテムになっています。
さらに、エンジン回転数にかかわらずブースト圧がかかった時に燃料ポンプをフル稼働させたい場合も、強制稼働をさせるマニュアルスイッチの設定があるので、その回路に加給時にONとなるプレッシャースイッチ(製品には付属していません)を接続すれば対応が可能になります。

<注意>
作業を開始する前にバッテリーのマイナス側ターミナルを外します。
外したターミナルはテーピングして確実に絶縁します。
万一作業中に配線類がボディ金属部分と短絡を起こすと、Aeromotive本体のみならず車両のPCM等を破損させてしまう恐れがあります。
アンダーフードエレクトリカルセンター(ボンネット内のフューズ・リレーボックス)の+B電源配線を外し、4ヶ所の固定用爪を解除します。
配線類が強く引っ張られないように注意しながら全体を持ち上げます。
コネクターは 白、灰、黒の3つに色分けされています。
3つあるコネクターの一番奥(車両)側の 白色コネクターの手前側左最下部角に接続されている灰色線が燃料ポンプリレーの出力になります。
この配線にAeromotive本体からの配線を割り込ませます。
灰色線は複数本あります。
燃料ポンプリレー(35/青枠表示)の出力側(CKT120/表示)に接続されている線であることを確認します。
これを途中で切断して、車両コネクター側のリレー出力をPWRへ、線側の燃料ポンプ入力をPMPに接続します。
接続は圧着スリーブ(製品に付属)やギボシ端子を使って確実に行います。
また、外側は熱収縮チューブを被せて絶縁することを薦めます。
本体側配線には平型圧着端子(製品に付属)を着けます。
配線は、PWRへ行く線は付属の細い赤色線(AWG16/1.3mm/1.25スケ・19A)で、PMPへ行く線は付属の太い赤色線(AWG10/2.6mm/5.5スケ・49A)を使うように指定されていますが、実際に制御される燃料ポンプの消費電流は10A程度なのでAWG16でも問題は無く、無理にAWG10を使う必要はありません。

<注意>
圧着端子の装着は必ず専用の工具を使います。
ペンチ等で行うと正しく装着されずに接触不良を起こしたり配線が抜け出てしまうことがあります。
黒色コネクターのD4(手前から奥に向かって4番目の右側から4番目)に接続されている白色線がエンジン回転センサー出力です。
この線はPCMからメーターへ行く途中にここを経由しているだけなので、リレーやフューズへ接続されていません。
配線を途中で切断したら、こちらも圧着スリーブ(製品に付属)かギボシ端子で二股に分岐して元の配線とAeromotive本体(PNT)へそれぞれ接続します。
配線は付属の黄色線(AWG16)を使います。
本体側配線には平型圧着端子(製品に付属)を着けます。

追加配線を下の穴から外へ出したら、配線類が挟まれたりしないように注意してアンダーフードエレクトリカルセンターを元の状態に戻します。
加給圧センサー(製品に付属していません)、又は、強制稼働用スイッチ(製品に付属)をSWTに接続します。
使用しない場合は配線不要です。
加給圧の検出は一般市販されているメカニカルプレッシャースイッチがどれも3psi以上の設定になっていたため、0psiを少しでも越えたらONになるように工業(FA)用の圧力センサー(オムロンE8F2-A01C/NPN出力)を使いました。
この製品は気体圧力を検出して0.1kpa単位でデジタル表示し、設定した圧力になった時にON/OFF信号を出すことができる精密な機器ですから、このような用途に使うのはもったいないのかもしれませんが、加給時の燃圧不足によるエンジンへのダメージを回避するためなら若干の出費は止むを得ません。
設定はONが下限の0.0145psi(0.1kpa・0.001kg/cu)、OFFを0psiにしたので、負圧が正圧に転じた瞬間にONになり、正圧から負圧に戻った瞬間にOFFになります。
電源を接続して、2系統あるNPN出力の一方をそのままSWT端子に接続すれば完了です。
配線は付属の緑色線(AWG16)を使い、本体側に平型圧着端子(製品に付属)を着けます。
加給圧はインテーク上から取得しますが、私の場合、既にブースト計用に取り出しているので、三又ホースジョイントで分岐しました。
本体をエンジンルーム内に設置したので走行中にSWT表示の点灯確認ができませんから、加給圧センサーのもう一方の出力にLEDを装着し、電動ファン動作確認用LEDと並べて設置して運転席から動作を確認できるようにしました。
上から、ラジエター用電動ファン左、右、エンジンオイルクーラー用電動ファン、ATFクーラー用電動ファン、加給圧センサーの順番です。

→配線図
作業が完了したら、絶縁不良、誤配線、圧着の緩み、芯線の一部がハミ出ていないことを確認します。

→配線図

車両側(O型)、本体側(平型)に圧着端子(製品に付属)を着けて、車両の+B電源から20Aのフューズ(製品には付属していません)を経由させて本体のBATに接続します。
この配線はポンプを稼働する電源となりますので付属の太い赤色線(AWG10)を使い、同様に太い黒色線(AWG10)を使ってGNDをアースを接続するように指示されていますが、こちらも燃料ポンプの消費電流を考える限り、AWG16でも問題はありません。

本体は小さく薄いので、本来なら周辺のどこにでも装着が可能だと思いますが、私の場合はキルスイッチやら追加リレーやらで混雑しているので(笑)、水冷インタークーラー用リザーバータンク上にベースとなるプレートを装着して固定しました。
本体接続端子部分は絶縁防水処理を施します。
外したバッテリーのマイナスを接続したら動作テストを行います。
動作テストが完了するまで走行を開始するのは禁物です。
動作テストは以下の項目となります。ポンプの稼動電圧はPMPターミナルの出力電圧を見ることで確認します。
@ イグニッションON→FST表示が点灯してポンプがフル稼働(入力電圧と同じ12.4V)→数秒後にFST表示が消灯して電圧低下(入力電圧の約73%、9V)→その後、純正ポンプリレーがOFFになってポンプ停止(0V)
A エンジン始動→PNT表示点滅、FST表示が点灯してポンプがフル稼働(入力電圧と同じ13.6V)→数秒後にFST表示が消灯して電圧低下(10V)
B エンジン回転数を初期設定値(3000rpm前後)まで上げる→FST表示点灯、ポンプフル稼働(13.6V)
C アイドリングにする→数秒後にFST表示消灯、電圧低下(10V)
D SWT入力をアースと接続する→SWT表示が点灯、ポンプフル稼働(13.6V)
E SWT入力を解除→SWT表示が消灯して電圧低下(10V)
以上で動作テストは完了です。正しく動作しなかった場合は配線をチェックします。
フル稼働開始のエンジン回転数設定は本体にあるキャップを外して中のポテンションメーターを精密ドライバーで回して行います。
初期設定値は3000rpm辺りになっていました。反時計回り方向で設定回転数が低くなっていきます。

燃圧計による測定を行ったところ、電圧が低下している時で燃圧は56psiありました。
純正基準値が55〜61psiですから、2500rpm以下での無加給走行に問題はないでしょう。
そして、電圧が上がると62psiに上がりました。
走行中に燃料ポンプの稼動状態を確認するため、デジタル表示の燃圧計を装着しました。
プレッシャーセンサーは、フュールレール上のTPI用接続フィッティングを外して直接装着しました。
理由は不明ですが、機械式メーターで測定した時よりも10psi高く表示されています。
バッテリーを外したので、アイドリング学習を行います。
また作業時間によっては、盗難防止装置学習が必要になる場合があります。


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