<Pro YANK 強化型トランスミッション&トルクコンバーター(+ドライブシャフトカプラー)の装着 by KMクラフトガレージ>
   Installation of Pro YANK 4L60E Transmission and 3400/2.7 STR Torque Converter with Drive Shaft Couplers

2004年8月16日 / 2005年8月8日更新(ミッション破損による修理・トルクコンバーターの交換) / 2006年8月16日(GearStarPerformance製強化ミッション装着)


赤枠で表示されている画像は、マウスポインターを置くと入替ります。
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[効果:ハイパワーエンジンとの組み合わせには必需品。ハイストールトルクコンバーターは、シフトプログラム変更が必要。]


スーパーチャージャーの装着によって大幅に増大したパワーに対応するため、Pro YANKの強化型トランスミッション(4L60E・700lbs/ft対応)とトルクコンバーター(3400/2.70STR)を装着しました。

Installed Pro YANK 4L60E Transmission(700lbs/ft) and Torque Converter(3400/2.70 STR).
こちらが強化ミッションの現物ですが、こうして見ているだけだと、特別何かが違うと言った感じは全く無く、普通でした。
何よりも驚いてしまったことは、大きさです。重量さえ無ければ小脇にかかえるというわけにはいかないものの、それに近いほどコンパクトなものでした。
これが純正でも450lbs/ftの大トルクに耐えてくれるのですから、時代の進歩を感じざるを得ません。私が昔(軽く10年以上前です・・・)、見慣れていたポルシェ928S4の同じトランスアクスル用ミッションは、トルクコンバーター共々、倍くらいの大きさがあったように記憶しています。

そしてトルクコンバーター(入替り画像)も、30cm四方位のダンボール箱に、きちんと収まっていました。

作業は全てKMクラフトガレージさんにお願いしました。また、掲載写真の撮影も全て行っていただきました。
まずは、リアメンバーを降ろすため、サスペンション系を外します。
ミッション、デフをジャッキでサポートしながら、メンバーを外します。
ようやくミッションとデフが降りました。
今回は、ドライブシャフトカプラーも強化タイプに交換するので、ドライブシャフトも外します。
ドライブシャフトが降りました。
ドライブシャフトは、このようにハウジング内に収まっています。
ドライブシャフトカプラーは、このハウジングとシャフトの隙間に装着されていて、シャフトをサポートしています。
つまり、このカプラーが壊れてしまうと、ドライブシャフトが振動して、ハウジングの中心に正しく収まらなくなって、最悪の場合、ハウジングを壊してしまうことになります。
右側がウレタンゴム製の純正カプラー、左側が金属製の強化型です。
純正品は、このように既に亀裂が入っていました。
内部には強度保持のために繊維質のものが混入されていましたから、この程度の亀裂で直ぐに壊れてしまうわけでは無さそうですが、危ないことだけは確かです。
実はこの強化カプラー、2000年モデル以降のマニュアル車用だったため、ボルトの太さが違っていました。1999年のA/T車のボルトはM10ですが、カプラーに空いていた穴は、M12でした。
このまま固定するわけには行きませんので、急遽、旋盤を使って、12mmの真鍮の無垢棒から削りだしたカラーを製作しました。
また、シャフトの前後にも純正カプラーと同素材でつくられているサポートブッシュが装着されています。
こちらは特にダメージは見られませんでしたが、安全を見て、これも旋盤から削りだしたものに交換しました。
新しいミッションをディファレンシャルに組み込みます。
新しいトルクコンバーターにATFを充填し、ミッションに組み込みます。
ドライブシャフト、ミッション、デフをメンバーと共に組み込みます。
ミッションにATFを充填します。
そして圧送して完了です。

最後の仕上げは、LS-1 EDITによるミッションプログラムの変更です。
トルクコンバーターのストール比変更によるミッション診断設定の変更とファームネス、シフトプレッシャー値を変更しました。
数値はあくまでもオフラインで設定したものですから、今後テスト走行を行って最終値を決めます。
いくらサーキット走行を行うと言っても、街乗りも快適に出来なければ、本末転倒ですから。

Install new transmission program by LS-1 EDIT.

ハイパワー負荷の厳しい状況に今日まで耐え抜いてくれた純正ミッションです。

<使用レポート>

ミッションについては、強化型になったからと言ってギア比等が違うわけではないので、特に大きく変わった点はありません。安心して高負荷を掛けられるようになったと言うことです。
トルクコンバーターは、強化型であるばかりでなくストール比が変わっていますから、大きな変化があります。エンジンの回転をある程度上げないと前に出てくれません。
しかし、LS-1 EDITによるプログラム変更により、発進時の一瞬とリバース時以外は、特に大きな影響を感じずに済みました。
また、純正時にはミッションをいたわる意味で行わなかったファームネス値の変更を行いましたが、これも大正解で、高負荷時のダイレクト感が大幅に向上しました。
ファームネスの変更をせずとも、中間加速の向上は目を見張るものがあり、今までの倍と言っても過言ではないほど、グッと前に出て行きました。
このミッションとトルクコンバーターならば、純正状態のエンジンであっても、交換する価値があると感じています。
今後は街乗り、サーキット走行によるテストを行い、ミッションプログラムの数値をさらに煮詰めて行きます。


2004年8月26日
「ツインリンクもてぎ」を走ってきました。
ハイストールコンバーターが故の一般道における低負荷低回転時の緩慢な挙動も、4000rpm以上を多用するサーキット走行では、何のストレスも無く、美味しい加速を存分に味わうことが適いました。
ハイストールコンバーターは、LS-1 EDITによるプログラム変更で、低負荷低回転時の挙動改善が出来ましたが、それでも限界がありますから、一般道走行を優先する場合には、ストール比を2600〜2800辺りにしておいた方が良いのかもしれません。
但し、強度・耐久性面の低下は避けられませんので、サーキット走行を前提としたスーパーチャージャーとの併用は難しくなるでしょう。
唯一の問題は、ATFの温度管理でした。水温、油温に何ら問題が無かったにもかかわらず、ATF温度だけは、5周ほどで125℃に達してしまいました。
LS-1 EDITにより変更した数値に無理があったのか、それともハイストールコンバーターが故の根本的な問題であるかは不明です。
今後、より効果的な冷却方法を模索する一方で、プログラム数値についても検証して行きます。

但し、高速道路を含むあらゆる一般道走行における温度面での支障は一切ありませんでした。

2004年11月6日
ATF温度の上昇は、やはりクーラーコアの冷却能力不足が原因であったため、コアを19段から25段へ大型化しました。
そして、装着位置をスーパーチャージャー用水冷インタークーラーコア背部まで下げ、通気性を向上させました。

また、ラジエターへの通気不足を補うため、アンダーフィンを装着(入替り画像)して、前面からだけでなく、下部からの通気導入を行うようにしました。もっとも、このアンダーフィンは、単に純正用を再装着しただけです。
低速高負荷走行時で通気が不足した場合でも、ATFクーラー冷却を促進させるため、インタークーラーコア前に電動ファンを装着しました。
これは同時に、インタークーラーコアの冷却も兼ねています。

また、走行中における通気性の向上を行うために、エアダクトも設置(入替り画像)しました。

2004年11月23日
外気温8℃の雨天下で、サーキット走行を行いました。
水温・油温は、90℃を超えることが一度もありませんでしたが、ATF温度は100℃に達してしまいました。
吸気ダクトも電動ファンも、走行中においては、十分な効果を発揮してはくれませんでした。

但し、走行を終了してクーリングをしていると見る見る温度は低下し、数分で90℃に下がってくれましたから、電動ファンの効果はありました。
八ヶ岳 そこで、電動ファンの稼動電源を、ラジエター用右側からの分岐では無く、リレーを介してバッテリーから直接稼動させることにしました。つまり、水温が90℃以下のためラジエター用電動ファンが低速回転であっても、ATFクーラー用電動ファンは、常時フル回転することになります。
一般道においては、どのような走行パターンであっても82℃以上にはならないので、以前に比べれば冷却効果はかなり上がったのですが、それでもサーキット走行となると、まだ十分ではありません。ともかく走行中の通気性がまだまだ不足しています。

2004年11月23日 アンダープレートの装着
フロントエアスポイラーからの吸気を全てATFクーラーコアへ導入させるためのアンダープレートの装着を行いました。
プレートは、ATFクーラーコアが装着されている側にだけ装着され、フロントエアスポイラーの右半分からの吸気が導入されるようにしました。

また、吸気ダクトの位置を上方に移動(入替り画像)させました。
フィルターを撤去したフロントエアインレット 雨水浸入防止用として吸気口に装着していたフィルターも、吸気効率を低下させるので、撤去しました。
ナンバープレートを装着していても、ダクトは丸見え(入替り画像)になります。

この二つの処理は、大きな効果がありました。
外気温18℃下の公道走行テストしかしていませんが、ATFの温度は79℃のまま変化しません。これまで、外気温がもっと低い状態でも、高速道路を走行していると、水温87℃、油温80℃であったも、ATF温度は84℃辺りまで上昇することがありましたから、冷却効果がかなり上がってくれたと思われます。また、街中になると電動ファンが活躍してくれており、直ぐに77℃まで低下してくれます。
サーモスタットが装着されていますから、勿論これ以下にはならず、オーバークールにはなりません。

これで考えられる全ての方法を試したことになると思いますので、次回のサーキット走行において十分な効果を発揮することが無かった場合には、クーラーコアの設置場所そのものを変える方向で方法論を考えることになります。

LS-1 EDIT シフトファームネス設定タブ ATF温度の上昇原因の一端に、ファームネスとプレッシャーの設定があると思い、両者共に数値を変えていたのですが、ATFクーラーの冷却能力に主な要因があったことが判明したため、LS-1 EDIT により、再度、高効率の設定に戻しました。
3速は比較的低い速度でロックアップされますが、2速にはロックアップの設定がありませんから、ファームネスの変更により滑りが減少して、動力伝達効率アップが適います。
トルクコンバーターが、長い時間大きく滑り続けていると、ATF温度が直ぐに上昇してしまいますから、温度管理面でもファームネスは高い方が有利になるかもしれません。

体感面で顕著なことは、スロットルを開けると直ぐにクンと前に出てくれるようになりますから、レスポンスが大変良くなることですね。
その分、シフトショックは増大しますが、ギクシャクしてしまうほどのものではありません。

2004年12月8日
第8回那須モータースポーツランド走行会を開催しました。
この時節にしては日中の外気温が高くなり、14℃に達しました。
走行中の大半が1速2速となり、さらに絶対速度が低いため温度管理に厳しいショートコースの那須ですが、水温・油温が105℃、107℃であった際のATF温度は103℃と、初めて下回ることが出来ました。
そして負荷を軽減すると、みるみる温度が下がり、クーリング走行を一周するだけで95℃まで低下してくれます。さらにピットに戻ってからも、電動ファンの効果により3分程度で90℃まで下がりました。
スーパーチャージャーと強化ミッション&ハイストールトルクコンバーターを装着して以来、ATF温度管理には随分と悩まされ、ATFクーラーへの対策をあれこれと講じてきましたが、これでようやく一段落と言ったところです。

2005年8月8日
7月15日のえびすサーキット走行会にて、突然3速に入らなくなってしまいました。
故障の直接の原因はバルブボディの問題で油圧不良となり、3・4速クラッチが作動しなくなったことでしたが、この事態を招いてしまった要因は、2速のロックアップ設定にありました。

ミッションは、Transgo社のリビルトキットによりオーバーホールされ、バルブボディにはKMクラフトガレージスペシャルの強化対策が施されました。
トルクコンバーターは破損していませんでしたが、ミッションのOリングが内部に入り込んでしまったため、オーバーホールを行いました。
案の定、Oリングのかけらが中から出てきました・・・。
今回、修理品は予備用に保管することにして、新たにYANK Super Stock 3200(ストール比3200/2.1STR)を装着しました。
ストール比が低い分、耐パワー性が若干低下するようですが、低回転時の緩慢さが減り、とても乗り易くなりました。
LS-1 EDIT により、2速のロックアップや3速の低速度ロックアップの設定を全て解除しましたが、これなら無理にロックアップをする必要を感じません。
同時にディープパンも装着しました。
これは熱伝導効率が高いアルミ製で、放熱フィンが着いています。さらにATF量も3.8リットルの増量が適います。
放熱効果の向上とATFの増量により、ATFの冷却に大きな効果が得られました。
第二回本庄サーキット走行会においては、ミッションもトルクコンバーターも大変良好で、圧倒的なパワー感を十分堪能することが適いました。

2006年8月16日
GearStarPerformance社製強化ミッションを装着しました。
本製品は、4L65Eをベースに強化対策が施されたものです。
ところが、装着当初から油圧不足の症状が出て、ロックアップしてくれませんでした。
メーカーではプログラムの問題であると言い張っていますから、全く当てになりません。
取り合えず様子見ですが、時間ができたら点検することにしています。

2006年8月29日
8月22日の本庄サーキット走行会でも、その後の小旅行における高速を含む300km余の走行においても、3速、4速が共にロックアップせず、ATF温度も上がり気味でした。
プログラムをどう変えても症状の改善が見られなかったため、KMクラフトガレージさんで様子を見てもらいました。
その結果、何とTCCソレノイドの初期不良が原因でした。
新しいものに交換して油圧が回復し、ロックアップもするようになりました。
メーカーには発生した症状と原因についての報告をすると共に、賠償責任の訴追を行うことにしています。
最大の懸念は、油圧不足状態で僅か8周とは言えサーキット走行を行い、さらにその後に300km余を走行してしまったことによるダメージですが、今のところ大丈夫そうです。

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