<Magnuson水冷インタークーラー式スーパーチャージャーの装着>
Installation of Magnuson Intercooled Super Charger

2004年5月15日装着 / 2007年4月15日更新 / 2007年7月16日更新

「赤枠で表示されている画像は、マウスポインターを置くと別の画像に入れ替ります」
Image changes to another one when set mouse pointer on red edge image.
 
エンジンビュー Magnuson社製スーパーチャージャーを装着しました。
装着作業は全てKMクラフトガレージさんで行っていただきました。
締付トルク等を含めた詳しい作業内容は、こちらの装着マニュアル(但し英文です)を参照して下さい。

Installed Magnacharger. Visit Magnuson Web. to see detail installation.
ボンネットの穴開け 本品の装着に際してクリアランス不足(5cm以上)のため、純正ボンネットはそのままでは使用することが出来ません。これだけの部分に穴を空けないと閉まりません。
開口と骨組みの一部を取り外したことで強度面で弱くなってしまいましたが、反面、随分と軽くなりました。

Factory Hood could not use because of clearance. It's required to open big space on Hood.
エアスクープ 開けた穴からユニットを露出させたまま走るわけにも行きませんので、KMクラフトガレージさんでワンオフのグラスファイバー製エアスクープを製作していただきました。

KM Craft Garage products Air Scoop on Hood by glass fiber.
エアスクープ 外観面でも迫力満点です!!
さらに外気導入口と排出口により、膨大な発熱をするスーパーチャージャーユニットを効率的に冷やすことも適っており、一挙両得です。

It's very nice and Air Inlet and Outlet make Super Charger Unit be cool.
エアスクープ 吸入口と排出口にはアルミ製ネットとフィルターを装着して、雨水侵入を防止しています。
エアフローダクトとの干渉を防ぐために全体を少し浮かせていることで左右の隙間から若干の雨水侵入がありますが、これについては大きいサイズのゴムシール材の装着で解消出来ています。

Install aluminum mesh net with filter on Air Inlet and Outlet for water proof.
RK SPORT スーパーチャージャーフード 数社から既製品として専用フードが販売されていますので、これを使用することも出来ます。
こちらは、RK SPORTS社製のものです。

It's possible to use RK Sports' Hood for Magnacharger.

【注意】

本品は99年モデルに装着したものですので、97〜98年及び2000年以降モデルと詳細で違う場合があります。

装着作業の内容については、メーカーのマニュアル記載と異なる部分があります。

加給機ドライブシャフト軸受ベアリングに規格違いの製品が装着されていたため、交換する必要がありました。

加給機ドライブギアボックス内には、オイルが充填されています。また、このオイルは定期的な交換が必要です。
オイルと交換用メインテナンスキットは、メーカーより購入(別売り)することができます。

インタークーラー装着位置をマニュアル指示通りに行うと、水温管理問題が発生する可能性がありますので、場所の移動を推奨します。

プログラミングについては、LS-1 EDITの併用を推奨します。

マニュアルには特に要請されていませんが、使用プラグの熱価変更を推奨します。

増大したエンジンパワーに対処するため、
ブレーキタイヤブッシュサスペンションスウェイバー
ミッショントルクコンバーターの強化を推奨します。

水温・油温・ミッションオイル温度の上昇を回避するため、
ラジエターの大型化サーモスタットの交換エンジンオイルクーラーの装着ミッションクーラーの装着を推奨します。

エンジンルームの排熱を促進させるために、ボンネットにエアダクトの装着を推奨します。

@スーパーチャージャーユニットの装着について Installation of Super Charger Unit

インテーク取り外し インテークマニフォールドを取り外し、ノックセンサーマウントプレートを取り外します。
ノックセンサーをはじめとした各センサー類は全て移植して再使用します。

Uninstall Intake Manifold with all sensors and hoses.
マウントプレート装着 ノックセンサーをマウントしているプレートを付属のものに交換しますが、プレートが99年式用では無かったのか、根本的な設計ミスなのか判りませんが、装着に際してエンジンブロックの一部をかなり削る必要がありました・・・。

To install new knock sensor plate, it's required to sand Engine Block!!
I wonder the plate was not for Model 1999.
ノックセンサー装着 削取作業が無事終了し、プレートを装着したらノックセンサーを装着して溝に配線を通します。
この配線用溝は少々深さが不足しており、センサーへの配線がつぶれて断線してしまう可能性が有りましたので、十分な深さまで削った方が無難です。

Install Knock sensors on new plate.
スーパーチャージャーユニット装着 スーパーチャージャーユニットを装着します。
各バキュームホース類、燃料ホースを接続します。一部は延長及びルート変更が必要になります。
またブレーキ用とはじめとしたバキュームホースラインには加給正圧の逆流を防止するチェックバルブを装着します。各ホースの接続部分はホースバンドで固定しました。

スロットルボディ、MAF、エアクリーナー、各センサー類は使用中のものを再使用しますが、エアフローダクトは製品に付属しているものを使用します。

Install Super Charger Unit with hoses and sensors. Install throttle body, MAF and Air Cleaner with new air flow duct.
パワーステアリングフルードリザーバータンク装着位置変更 パワーステアリングフルードリザーバータンクは、取付位置が変わります。
スロットルボディとインテークユニットの間にプレートを挟む形でステーを装着し、それにタンクを装着します。付属のホースで配管ルートを変更します。

Reservoir tank for power steering fluid is moved.
サーキット走行を行うとフルードの過熱が激しくて噴き出しますから、競技対応のリザーバータンク使用を薦めます。
装着したものは、BillionレーシングPSタンクです。

It's required to use Racing Power Steering Fluid Reservoir Tank for Drag Race.
また、サーキット走行を行うには、フルードクーラーも必需品です。

It's required to install Fluid Cooler for Drag Race.
Z51用純正クーラーだけでは夏季走行時に役不足であったため、追加のクーラーを装着しています。
冷却吸気は フロントエアスクープからホースで導入しました。

Z51 PS Cooler is not enough therefore install additional cooler.
プレッシャーゲージ接続口 プレッシャーゲージ(アナログ式)は、加給圧が検出できるインテーク内から来ている取出口へ接続します。

Hose for Pressure Gauge(Analog) is connected to barb on the unit.

Aクランクプーリーの固定  Install Pin on Crank Pulley

クランクプーリーへのノックピン打ち込み クランクプーリーの空転を防止するため、シャフトとプーリーを固定するピンを打ち込みます。

Install Pin on Crank Pulley.
ラック&ピニオンギアボックス 作業のためには、スウェイバー、タイロッド及びステアリングのラック&ピニオンを外す必要があります。

It's necessary to uninstall Sway bar, tie rod end and rack&pinion of steering.
テンションプーリー テンションプーリー(上側)を付属のものに交換する作業があります。純正(下側)よりプーリー径が大きく、さらにテンションも3倍くらいの強さがありました。

Install new tension pulley.

B燃料ポンプの交換  Change Fuel Pump

燃料ポンプ 容量が増大したインジェクターに対応するため、燃料ポンプを大容量のものに交換します。
燃料ポンプは運転席側燃料タンクの中に入っています。作業に際してはガソリン残量を1/3以下にしておく必要があります。
尚、2001年モデル以降の場合、燃料ポンプが高容量タイプに換っているため、ポンプの交換は不要となり、燃圧上昇制御用に"Magna Volt"と呼ばれる電子制御の燃料ポンプブースターを装着します。

Fuel Pump is changed to powerful one.
After Model 2001, install Magna Volt only, not necessary to change pump.
高容量燃料ポンプが常時フル稼働している必要がないので、耐久性向上のために燃料ポンプコントローラー(Aeromotive製)を装着しました。
これにより、アイドリングや無加給の一般走行時に燃料ポンプの不要なフル稼働を抑制することがかないます。

Install Aeromotive Fuel Pump Controller.
加給圧の検出は工業用の圧力センサー(オムロンE8F2-A01C)を使いました。

→Aeromotive燃料ポンプコントローラー装着

Use OMRON E8F2-A01C Pressure Sensor.

C水冷インタークーラーの装着  Install Watercooled Intercooler

装着場所を移動した水冷インタークーラーコア インタークーラーは、Magnuson社の指定箇所だとラジエターへの吸気効率を大きく低下させてしまうため、マスタングコブラ用チューニングパーツであるAFCO製ヒートエクスチェンジャーに交換して、フロントナンバープレート開口部に装着しました。

→装着図(PDFファイル)
電動ポンプの装着 電動ポンプを設置します。設置場所は助手席側ライトハウジング下です。

Install Water Pump for intercooler.
インタークーラーコアの交換に伴い、送圧を上げる目的でポンプをより強力なものに交換しました。
今回使ったのはマリン用のシャフロ社製、12V/4.6A、12L/minの能力がある静音型で、大沢マリンさんから購入しました。
大きさが倍程度になりましたが、ギリギリ収まっています。
リザーバータンクを空けて見ると、これまでかろうじて循環していることが分かる程度であったものが、勢いの強い水流を感じることができています。

Change pump to stronger one.
リザーバータンクの装着 水冷式インタークーラー用リザーバータンクはバッテリー上に設置されます。リザーバータンク内には当然のごとく水が入ってそれなりに重量が大きくなるので、ステー等でしっかり固定します。私の場合はバッテリーがPOMECドライバッテリーなので、装着位置が少し低くなっています。

Install Reservoir tank.
装着マニュアルでは、電動ポンプの稼動電源をエンジンルーム内ヒューズボックスのイグニッションON回路から取り出すよう指示されていました。しかしこの方法だと冬季の低温下でも始動直後からポンプが稼動してしまい、暖気運転を阻害してしまいます。
そこでBILLIONのVFC-PRO DDを装着して、吸気温度が50℃に達してからポンプをONにするようにしました。
吸気温度センサーは専用の取付口に設置します。
また、吸気温度が低い時であってもサーキット走行を開始する際にポンプを強制ONするためのスイッチも設置しました。

For electric fan and pump, I installed VFC Pro DD by Billion Inc. with air temp. sensor.
水温センサーの装着 センサーを追加装着することで同時に二つの温度表示ができるので、インタークーラー用クーラントにもセンサーを装着しました。
センサーは、インタークーラーからリザーバータンクへ出て来る戻りラインに専用のアダプター(バイク用18mm径)を使って装着しました。
ヘッダース上を通るホースには遮熱シートを巻いています。

Water temp. sensor is installed on hose with adapter between intercooler return and reservoir tank.
配管類は耐久性向上のために全てサムコ製シリコンホースに交換しました。

Change all hoses to SAMCO silicone.

D燃調プログラムのインストール  Install Program by Micro Tuner

プログラムのインストール 製品に付属している「スーパーチップスマイクロチューナー」を接続してモディファイされた燃調とA/Tミッションのプログラムをインストールします。これは一般に販売されているものと同じ製品ですが、Magnuson社により専用品としてモディファイされています。そのため注文時に提示したVINコードと一致する車両以外へ接続することは出来ません。
ハイパーテックやプレデターによりチューニングプログラムがインストールされている場合には、必ず純正状態に戻してからのインストールとなります。
インストールした後に、純正状態に戻さず他のチューニングコンピューターを接続して書き換えを行うとPCMのプログラムが全て消去されてしまうので要注意です。
本作業が最も難解で問題発生の可能性が高いものです。万一の時にはTECHUが無いとPCMのプログラムは全て消滅し、エンジンの始動すら出来なくなってしまいます。

Install Program for Fuel and ignition with mission by Micro Tuner(modified by Magnuson).
But there is no function for another modification.
BCM用コネクター コルベットに接続する場合、BCMコネクターの下側に接続されている純正のコネクターを抜いて、付属のものに交換してから行います。

It's necessary to connect supply plug into BCM.

Eインプレッション Impression

エンジンビュー エンジンを始動すると意外なほどまでに静かで少々拍子抜けをしてしまったくらいです。走行をしても加給されない状態では極めて普通ですので、言われなければ気が付かないかもしれません。またA/Tミッションへのいたわりプログラムが良く出来ているらしく、とてもスムースな感じを受けました。
しかし加給が始まると事態は豹変します。唸りを上げて発生する絶大なパワーは、ピレリコルサの315をもってしても簡単にホィールスピンを誘発出来ました。
パワーチェックをしていないのではっきりしたことは判りませんが、少なくても450HP以上は出ているような感じです。
加給機の特性としてスロットルを大きく開けない限り加給圧はかかりませんから、パートスロットルで走行している限り負荷がかかることはありませんし、燃費も大きな変化はありません。
またスロットルを開けた瞬間にほとんどタイムラグ無く加給が始まるので、レスポンスも非常に良好です。

<LS-1 EDIT によるプログラム変更>
LS-1 EDIT画面 マイクロチューナーによりインストールしたマグナッソン社のカスタムプログラムをLS-1 EDIT を使って読み出し、電動ファン回転開始温度設定を変更したものを再インストールしました。

Install electric fan running temperature at 185F and 195F by LS-1 EDIT.
LS-1 EDIT画面 またミッションプログラムについても変更を加えました。
ミッションとトルクコンバーターは未だ純正なので高速高負荷における変更はしていませんが、低速低負荷時の乗り易さと機敏さを追求してみました。
(注意:表示画像の数値は、実際のデータではありません)

Also change transmission program.

<プラグ熱価の変更>
DENSO IT24 プラグ プラグを高熱価のDENSO IT24(NGK TR-8相当)に交換しました。
純正は勿論のこと、IT22でもサーキット走行を行うには役不足になります。

It's required to use DENSO IT24 plugs.

<強化ミッション&ハイストールトルクコンバーターの装着>
Gear Star Performance製強化ミッションとハイストールトルクコンバーターを装着しました。

Installed Gear Star Performance Transmission and YANK Torque Converter.
TCCソレノイドバルブの初期不良により油圧が上がらないトラブルが起こりましたが、ソレノイドを交換して修復されました。
強化ドライブシャフトカプラー また、ドライブシャフトカプラーも強化タイプ(左側)に交換しました。
これは、エンジンとミッションを結ぶドライブシャフトの前後に装着されているブッシュの一種で、純正品はウレタンゴム製(右側)になっています。

Also installed strong Drive shaft coupler.
LS-1 EDIT画面 トルクコンバーターがハイストールタイプとなったため、LS-1 EDIT を使ってミッションプログラムの変更を行いました(注意:表示画像の数値は、実際のデータではありません)。
また、純正ミッションでは強度不足が心配されたので行わずにいたファームネス値を全体にやや強く変更してみました。

Change transmission program for high stole converter.

<強化ディファレンシャルギアの装着>
強化型ディファレンシャルギアを装着しました。
ファイナルは、純正の3.15では無く、3.42を選びました。
ファイナル変更に伴い、LS-1 EDIT により補正を行っています。

Change Final Ratio to 3.42.
ファイナル3.15の純正デフにOS技研製スーパーロックL.S.D.を組み込みました。

トラブル発生 The problem was happened. Bearing for Super Charger Drive shaft was broken.
スーパーチャージャーユニットが外れたエンジン スーパーチャージャーの加給ユニットから異音が出ました。
これまで通りちゃんと加給は行われ、動作に支障は無いのですが、ガーと言う凄まじい音と共に激しい振動が出ています。致命的なダメージになる前にドライブベルトを外して稼動を停止させました。
手でユニットのプーリーを回してみると、スムースに回らず、何か引っ掛かるような感じになっていました。たかだかサーキットの全開走行を4回、距離にしても100km程度の走行で壊れてしまうほどヤワな製品では無いと思っていたのですが・・・。
RM Racing JAPANから購入した製品なので、ユニットを外して送り返せば修理をしてくれるのですが、外している間、一切の稼動が出来なくなってしまいますし、いまさら元の状態に戻すのは、あまりに面倒な作業となりますから、まずはKMクラフトガレージさんでユニットをバラして中の様子を見てもらうことにしました。

Big noise and vibration come from Super Charger Unit.
解体されたスーパーチャージャーユニット 装着作業をやっていただいたお陰で、あっと言う間にユニットが取れて、一時間程でバラバラになりました。
そして異音と振動の原因は、ドライブシャフトの軸受に使われているベアリングの不良でした。
ベアリングは、我が国屈指のベアリングメーカーで、世界1のシェアを持つNSK(日本精工)社製(NSK GERMAN 5304TNGC3、外径52mm/内径20mm/厚さ22.5mm)だったので、同品が国内手配出来るのではないかと期待していますが、GERMANの文字が示すように、ドイツのNSKで製造されたものだとすれば、国内入手は困難かもしれません。
Webで検索をしたところ、5304の型番を持つ製品を取り扱っているところは1件しか見付かりませんでした。早速問い合わせを行っていますが、これも果たして同等品であるかどうか未だ判りません。
Magnuson社にも問い合わせをしていますが、そもそも修理するならユニット全部を送り返せと言っていた以上、部品を単体で供給してもらえるかどうか怪しいところです。
ヘタをすると勝手にバラしてしまったことで保証外となり、部品供給を拒絶するかもしれません。
異音と振動の原因となったベアリング 装着し、稼動を始めてから僅か3ヶ月余で壊れてしまうような部品では通常無いはずですが、何とこのベアリングが装着されていた部分には、潤滑用のオイルが入っていました。
マニュアルには、オイルの種類や交換サイクルについてはおろか、オイルが入っていることすら一切記載が無かったので、バラした途端にオイルが漏れ出て来た時には、スーパーメカニックM氏と共に、一瞬目が点になりました(笑)。
入っていたオイルは、粘土の低いサラサラしたもので、マニュアルミッション用のオイルに似た感じでした。このオイル、2個の加給ユニットを対抗で回すために着いているギアの潤滑用に使われていますが、エンジン稼動中は高速で常時回転する部分ですから、どう考えても定期的に交換する必要があるものです。
漏れ出たオイルを手で触った感じでも、明らかに劣化が見られました。そこで、ベアリング交換が終わり、組み込みを行う際には、ここにドレン用の穴を新設して、定期的に交換できるように加工していただくことにしました。
オイルを入れるためのボルトはちゃんと着いていましたから、メーカーで出荷直前にオイルを充填するのではないかと思われますが、交換時のことは全く考えられていないようです。

Bearing was broken.
加給器本体 黒色の捻れているものが加給器本体で、長さは25cm位、直径は10cm位です。
こんな小さなもので5psiの加給を行い、5.7Lのエンジンパワーを1.5倍まで引き上げてくれるのですから、驚きです。
重量から推してスチール製のようですが、装着されるハウジングと共に、大変高い精度で加工されていたことに感心して、しばし眺めてしまいました。これはなかなか凄い製品です。
これらのエンペラー、ベアリング、ギア、シャフトの異常は全く無いどころか、磨耗や老化が何一つ無く綺麗な状態でしたから、異音発生の原因となったベアリングは、単体で部品不良だったのかもしれません。
ベアリングは、外径と内径が一致していれば、幅はある程度違っていても装着稼動は可能ですので、適合品の入手が困難であれば、国内で直ぐに入手が可能な6304を流用することも考えています。
再組み込みの際には、ギアオイルドレン穴の設置と共に、使用中に発覚した配線、配管ルート等の問題についても、改善処置を行っていただくことにしました。
ごく短時間しか加給走行が適わない街乗りでは、決して検証することが出来ない問題点を探るには、やはりサーキット走行を行うのが一番ですね。

NSKベアリング ベアリングメーカーであるNSK様より連絡をいただきました。そして、以下のことが判明しました。
@使用されているベアリングは、写真と表記型番を見る限り、複列アンギュラ球タイプであるため、軸荷重は高いものの、常用耐久回転数が7000rpm以下であるため、通常はエンジンプーリー等には使用されず、ハブ部分に使用される。
Aエンジンプーリー等、軸荷重は軽いが、高速回転する部分には、単列アンギュラ球タイプが使用され、常用耐久回転数は20000rpm。
Bベアリングの厚さは、複列アンギュラ球の場合は22.5mmまで設定があるが、単列の場合は16mmまで。
以上です。

Change new bearing.
これらの判明した事実を見る限り、破損したベアリングは、到底ドライフシャフトの軸受に使用出来るものでは無いことが明らかです。
そこで、単列アンギュラ球タイプの高速回転用ベアリング(NSK6304 C3)を取り寄せ、装着することにしました。

このベアリングは、取扱店であれば、どこでも2,000円以下で入手可能な一般的な製品です。

壊れたベアリング これが破損したベアリングです。
やはり複列アンギュラ球タイプで、ボールは何とプラスチック製のサポートに装着されていました。
これでは、見た目だけでも到底高回転に耐えられるもので無いことがはっきり判ります。
限界を超えた回転により、プラスチック製サポートが壊れ、ボールが外れて変形し、ボールが接する軸部分の外周は傷だらけになっていました。
もし、このまま回転を継続させていたら、ボールが外に飛び出してシャフトが偏芯回転してしまい、取り返しの付かない状態になっていたかもしれません。
どう低めに見ても7000rpm以上回転する軸受部分に、何故このタイプのベアリングが標準装着されていたのかについては、今後メーカーに対し、問い質して行くつもりです。

This is broken bearing. These Twin ball type bearing is only for Low RPM Shaft(Under 7000rpm).
I could not understand the reason why this bearing was installed here.
The shaft rounds over 20000rpm at least so that the bearing must be Single ball type.
新しいベアリング 新しく交換したベアリングは単列タイプで、常用耐久回転数が20000rpmのものです。
このタイプで厚さが22mmのものは、残念ながら製品として存在しておらず、16mmのみですから、このまま装着するわけには行きません。
そこで、壊れたベアリングのハウジングを切断してカラーとして使いました。
鋼鉄製のハウジングを正確無比に切断するのは、とても大変なことです。
KMクラフトガレージさんでは、この切断を引き受けてくれる工業所を何軒か廻って、ようやく出来るところを見付けていただきました。

I installed Single type bearing. This type can use 20000rpm.
Thickness of this bearing is 16mm so that cut housing of broken bearing and use it as spacer.
ギアオイル マグナッソン社からサプライされる別売りのメインテナンスキット(入替り画像)が来ていましたが、今後継続的に定期的交換を行いたいので、今回は、GM純正のマニュアルミッション用オイルを入れてみました。
オイルは、基本的に二つの噛み合うギアの潤滑用ですから、使用温度や回転数等を考慮しても、全く問題は無いでしょう。

Use GM Manual Transmission Oil for Gear Housing.
オイルドレンボルト装着 ギア部分のオイルを定期的に交換出来るように、ドレンボルトも装着しました。
オイルの注入口は、ちょうどギアの噛み合う中央部分に位置しているため、ここからバキューム式の交換器を使って吸い出すには、かなり細い柔軟なホースでも、底まで達してくれない可能性があります。

And also make drain bolt to change oil inside of Gear Housing.
I think it's necessary to change oil periodically.
エンジンビュー 異音と振動の原因であったベアリングを交換した後のエンジン音は、加給器のドライブベルトを外した時、つまり、ほぼ純正状態と大差無く、大変静かになりました。
そして、Borla Stingerマフラーの音が良く聞こえます。加給が始まると起こる排気音の変化もはっきりと認識出来るようになりました。
つまり、加給器そのものは、本来それほど大きな音も振動も発生させることは無く、装着直後から少しずつ増えていった異音と振動の原因は、全てベアリングであったことが明らかになりました。

After changed bearing, noise and vibration are disappeared and I can listen to Borla Stinger Sound very well.
I think Bearing was broken soon after installation.
I recommend to change bearing and change oil inside of gear housing periodically.

<温度管理対策 油温編>
オイルクーラー用熱排出ダクト エンジンオイルクーラーの排出口拡大策を行いました。

Make side air duct wider.
オイルクーラーコアは34段フルワイドタイプを使用しました。

Install 34 cores.
背部にはSPAL製9インチ電動ファンを装着しました。


Install SPAL 9inch electric fan.
電動ファンは、サーモスタットに装着した温度センサーにより専用コントローラー(Billion VFCU)が制御します。

Electric fan is controlled by this controller with temp. sensor on thermostat.
吸気は主にボンネット上に設置したダクトから行われます。

Air flow duct on hood.
油温が上昇しても十分な性能を発揮し続けることが適う、高性能エンジンオイルの使用も必須です。
WAKO'SのWRR(20W50)を使用しています。
これは、競技専用品となります。

Use WAKO'S Racing Motor Oil only for competition use.

<エンジンベルトのブレ防止対策>
中間プーリーとオルタネーターの間でエンジンベルトが大きく揺れているのを抑制するため、アイドラープーリーを装着しました。
プーリーは、鍋屋バイテック社FHPシリーズのVFF-6030Aにしました。
通常の稼動ではアイドラープーリーが無くても問題はありませんが、高回転を連続して使用するサーキット走行においては、過去、2回に渡ってベルトが外れたことがありましたので、装着は必須と考えます。

Install idler pulley to stop vibration of belt.
It's required to install for race track.

<温度管理対策 水温編>
ウォーターポンプとサーモスタットをエバンス製ハイフロータイプに交換しました。

Install Evance high flow water pump and thermostat.
ラジエターは、Ron Davisのレーシングラジエターを装着しました。

Install Ron Davis Racing radiator.
熱排出用ダクトと吸気NASAエアスクープに加えて、ラジエターへ直接通気を行うためのエアダクトを装着しました。

Install air intakes on hood to get Fresh Air to radiator directly.
また、ラジエターへの通気に障害となるエアコン用コンデンサーのフィンを間抜きしました。
フィンを抜いた部分には、アルミ板で製作した吸気抵抗にならない放熱板を装着しています。
ラジエターへの吸気量が大幅に増大し、水温上昇抑制に大きな効果がありました。

Make holes on Condenser for Air Conditioner.
ボンネットからの直接通気を背部へ効率的に抜くため、電動ファンのシュラウドに開口を行いました。
また、電動ファンをSPAL製12インチに交換しました。純正よりも強力で冷却効果向上に貢献します。

Make holes on electric fan shroud to pass through air flow from new air intakes on hood.
And change electric fans to SPAL. This fan is really stronger.
装着場所を移動したウォーターインジェクションノズル ウォーターインジェクションは目抜きをしたエアコン用コンデンサー部分に噴霧するようにしました。

<温度管理対策 ATF編>
ATFクーラー用コアをフロントに追加装着 フロントにクーラーコアを追加装着しました。
ATFの循環圧低下と重量増を避けるため、 パワーステアリングフルードの追加クーラーコアと同じ流動抵抗が無いタイプをフロントバンパーの左右開口部内に1基ずつ計2基を装着しました。
ここは、水冷インタークーラーコアをシングルパスタイプに交換したことでできたスペースです。
このタイプのコアは低圧のフルード冷却に適切で、十分な吸気が得られる場所に設置すると大きな冷却効果が得られます。
排出熱が水冷インタークーラーコアに流入しないように隙間には隔壁をつけました。
また、冷間時の短時間ヒートアップとオーバークール防止のため フロント側にもサーモスタットを追加装着しましたが、冬季はラジエター循環につなぎ換えることにしています。
リア側に装着したATFクーラー
下向きに傾斜して装着したクーラーコアと電動ファン
エアインテークとクーラーコアのホース接続


ATFクーラーはフロント側に適切な余剰スペースがなくなったため、リアに装着しました。

エアインテーク用のスクープはフェアレディZのボンネット用に市販されているものですが、さすがにC5のボディラインにピッタリ合うはずもありませんので、本体がスッポリ入る大きさの穴を空け、隙間をパテで埋め、フェンダー全体を塗装し直しています。

排出はリアバンパーに開口を行い、走行風の巻き込みを抑止するためにルーバープレートを装着しました。











クーラーコアは下向きに傾斜して取り付け、10インチのSPAL製電動ファンを装着しています。

















エアスクープのインテークとクーラーコアを接続する100mm径と75mm径のホースは、Billion製を使いました。

→装着図(PDFファイル)

<温度管理対策 ディファレンシャルギア編>
ディファレンシャルギアオイルはハイパワーを連続して受けると非常に高温になりますので、クーラーを装着しました。
ポンプを使ってデフ内のオイルをクーラーコアへ強制循環させます。
ポンプはリアカーゴ下に設置しました。

Differential Gear oil temperature become very high by getting high power therefore it's required to install cooler.
Oil is sent to cooler core by pump installed inside of rear cargo.
クーラーコアの設置場所に走行による自然通気が得られないため、インラインブロワーファンを装着しました。
このファンは耐水性耐久性に優れたマリン用なので、雨水や埃が直接当たる場所に使用することができます。

Cooler core could not get enough air flow so that I installed blower fan for Marin use.
This fan is waterproofed and very strong.

<温度管理対策 排気編>
排気温度は純正に比べて桁違いに大きくなりますので、ヘッダースへのバンテージ巻き付けは必然です。
それでもサーキット走行を行うと数回で駄目になりますから、遮熱塗料の塗布や2重巻き付けを薦めます。

また近接するプラグコードにも十分な遮熱対策を行う必要があります。

It's required to make anti-heat tubes around ignition wires to protect big heat from headers.
さらに、ブレーキフルードタンク、スターター等の排気系ルートに近接する部分も全て遮熱処理を行う必要があります。

I recommend to make plate for Brake master cylinder and pipes.

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